VOICE

働くひとを知る

工藤 豊 & 菊井 雅之

バイヤー

服を売る前に、人を見る。
バイヤーという仕事

服を売る前に、人を見る。バイヤーという仕事
私たちは、服そのものより、服を着る“人”を見ています。
どんな一着がその人らしさを映すのか。
どんな場面で心が動くのか。
お客様の笑顔を思い浮かべながら、生地を選び、色を決めていく。
私たちは、そんな想いで毎日を積み重ねています。
今回は、現場で長くお客様と向き合ってきた二人のバイヤーの言葉を通して、
ザザホラヤが大切にしている“仕事のかたち”をご紹介します。

工藤 豊(くどう ゆたか)
高卒から紳士服業界に飛び込み30年以上。販売・店長・エリア担当を経て、現在はスーツやセットアップ等重衣料担当のバイヤーとして活躍中。
メーカーとの取引はもちろん、自社ブランド(PB)の企画や生地選び等に携わる。
イケボ。クールな印象を持たれがちだが、普段は若手社員にも冗談をよく言うおちゃめなお父さん的キャラクター。オーダースーツに困ったときの最後の頼りどころ。

菊井 雅之(きくい まさゆき)
転職でザザに入社。アパレル業界では30年のキャリアを持ち、主に海外ブランドや大きいサイズの肌着担当バイヤーとして活躍中。
イケボ。クールだが関西弁のノリのいいお兄さん的なキャラクター。長期休暇ごとにインドやタイなど海外旅行に行っており、今までに行った国は約30ヵ国。国内から海外ブランド含めてカジュアル服のセンスは社内でトップクラス。

気付けばどっぷりハマっていた

工藤:
結局、僕の原点って“服が好き”なんですよね。
19歳のときにスーツが似合う男性に憧れて北海道の紳士服店で働き始めて、最初は販売からでした。
提案した商品をお客様が気に入って購入してくださったり、お客様の人生の節目をスーツを通して支えられることが嬉しくて。
その気持ちのまま気づいたら、もう30年以上この世界にいます。

菊井:
分かります。僕も同じです。
服が好きで、海外のファッションにも興味があって。
前職でブランドや雑貨を扱う仕事をしていたんですが、転職してもアパレル企業で気づけばこの業界にどっぷり(笑)。

工藤:
お互いどっぷりだね(笑)。“好き”ってやっぱり続ける力になるよね。
服はお客様によって好みもだし、似合う形や色が全然違うから、考えれば考えるほど奥が深い。
それを見つけるのが楽しくて、飽きないね。

菊井:
ほんとにそう。服って、正解が一つじゃないから。
その人に合うスタイルを考えたり、季節やシーンに合わせて提案したり。
自分の提案した商品が上手くはまったときの喜びって大きいね。

工藤:
菊井さんは、どうしてザザホラヤに?

菊井:
今までのアパレル企業での営業統括や衣料品・雑貨の輸出入などの経験をもっと活かせる場所を探していて。
ザザホラヤは、普通サイズから大きいサイズまで幅広く扱ってるから、
「ここなら提案の幅を広げられる」と感じたのが決め手でした。
挑戦できる環境がある、っていうのが魅力でしたね。

工藤:
なるほど。僕は前の会社がグループに入った時にバイヤーやってみないかと声をかけてもらって、それがきっかけで“ものづくり”の方に挑戦したいと思いました。
仕入れるだけじゃなく、お客様の声を形にする仕事も楽しそうだと。

菊井:
バイヤーの仕事って、そういうところがあるからおもしろいね。
単に買い付けるだけじゃなくて、どんな服を仕入れるか、どう届けるかを考える。
現場の声を聞いて、時には自分たちで作る。仕入れと企画、両方の視点がある仕事ですよね。

工藤:
うちはデザイナーやパタンナーも社内にいるので、一緒に商品を作ることも多いじゃないですか。
だから、「こんな服があったらいいのに」という声を実際に形にできるのは嬉しいですね。

菊井:
しかも、大きいサイズとか特殊なアイテムにも挑戦できる。
「できない」を「できる」に変えていくのが、うちの会社らしさですよね。

工藤:
そうですね。服って、人の気分を変える力があると思うんです。
着た瞬間に少し明るくなったり、自信を持てたり。
そんな一着を届けられるのが、この仕事の一番のやりがいですね。

菊井:
服が好きで、人が好き。
それが私たちのずっと変わらない原点なんでしょうね。

机の上は生地の山

菊井:
仕入れの仕事って、シーズンごとにちょっとした戦いですよね。
「これが来る!」って思って選んでも、結果が真逆になることもある。

工藤:
そうそう(笑)。
僕なんか去年、それでスーツの生地を山ほど抱えましたよ。
見た瞬間「これ絶対売れる!」って思ったんですけど、結果は…静か~に残ってました。

菊井:
ああ、それ分かります(笑)。
僕もカジュアルのパーカーで似たようなことがありました。
自信満々で仕入れたのに、開けてみたら全店舗で“そっと掛けられてる”だけ。
お店に行ったら、スタッフに「これ、誰が選んだんですか?」って言われました。

工藤:
それ僕もイジり半分で言われたことあります(笑)。
バイヤーって表に出ないけど、現場ではちゃんとバレてるんですよね。
“あの工藤さんのスーツ、残ってますよ”って耳打ちされる感じ(笑)。

菊井:
でも、そういうのも含めて楽しいんですよね。
成功も失敗も、次のシーズンの糧になる。
「なぜ売れなかったか」を考えるのが、実は一番ワクワクする。

工藤:
そうそう。
で、考えすぎてうちのデスク、いつも布だらけですよ(笑)。みんなに“工藤さんの席、展示会みたいですね”って言われるんです。

菊井:
分かる。僕もサンプルで埋まります。
帽子とかベルトとか、商品サンプルが並んでると、自分でも何屋か分からなくなる時ありますよ。
“菊井商店”って呼ばれてますもん(笑)。

工藤:
あはは、いいですねそれ。
でもやっぱり、そういう試行錯誤を繰り返してこそ、自分の“目”が育つ気がします。
最初は感覚で選んでたのが、いつの間にか理屈になってくる。

菊井:
うん。感覚が数字に変わる瞬間ってありますよね。
「あ、これ売れるかも」って思ったものが、実際に結果に出た時。
あれが一番気持ちいい瞬間です。

工藤:
たまに当たると「やっぱり俺の判断は間違ってなかったんだな」って思える。
でも調子に乗ると次のシーズンでコケる。
調子乗りすぎないようにうまくできてるんですね、現実って(笑)。

菊井:
一回当てると怖いですよね(笑)。
でもその売れた時の嬉しさがあるから、ずっと飽きないんだと思います。

工藤:
ほんとそう。
仕入れって、正解がない分、毎回新しい挑戦なんですよね。
それが苦労でもあり、魅力でもある。

菊井:
トレンドを読む仕事だけど、最後は人を読む仕事ですからね。
「誰がどんな気持ちでこの服を手に取るか」。
そこが当たったとき、いちばんうれしい。

工藤:
たしかに。
ただ商品を選ぶんじゃなくて“お客様に合う服を選ぶ”ことが何よりも大事ですね。

チームで動いて考える

菊井:
うちは部門ごとの連携が密ですよね。
僕はカジュアル担当ですけど、工藤さんのセットアップに合う靴やバッグの話をよくします。

工藤:
そうですね。
同じブランドで統一感を出したいので、「このスーツに合う靴はこれだ」とか、「冬ならこのコートで仕上げよう」とか、よく相談します。

菊井:
服単体じゃなくて、全体のコーディネートで見せる意識ですよね。
売り場もそれを意識して並べ替えたり、写真を撮ったりしてます。

工藤:
他の部門ともよくやりますよ。
たとえばボトム担当やインナー担当と話して、「この色味ならこう組み合わせよう」とか。
それぞれ目線が違うから、最初は意見が割れることもあります。

菊井:
ありますね(笑)。
スーツ目線だと「たまには黒紺グレー以外の色がいい」と言われて、カジュアル側は「もうシンプルな商品が欲しい」とか。

工藤:
でも、不思議と最終的にはまとまるんですよね。
みんな「ブランドを良くしたい」という気持ちは同じだから。

菊井:
そう。言い合いというより、“真剣な雑談”みたいな感じです。
コーヒー片手に「この形、ありじゃない?」って盛り上がって、
気づいたら次のシーズンの新企画になってたりします。

工藤:
それがこの会社のいいところですよね。
上下関係より「一緒に考える」文化が根づいてる。
今年の例でいうと、取引しているメーカーさんと全国の若手の店長を集めて今後のセットアップスーツについて意見交換する場を設けたりしましたね。
だから、現場の意見もどんどん上がってくるんです。

菊井:
お店のスタッフから「これ、こうした方が売れそうです」って言われて、
実際に変更することもありますしね。
そういう柔軟さがうちの強みだと思います。

工藤:
現場が主役って感じですよね。
僕たちはその声を形にしていくだけ。
それがチームで仕事をする面白さですね。

やってみないとわからない

工藤:
この会社って、ほんとに「まずやってみよう」っていう空気がありますよね。
最初はちょっと驚きました。

菊井:
分かります(笑)。
他の会社だと、企画を通すのに何段階も会議があったりするけど、
ここは「いいね、それやってみよう」で進むスピード感がある。

工藤:
社長が「失敗してもいい」って言ってくれるのが大きいですよね。
もちろん、失敗はしたくないけど(笑)。
でも、やってみないと分からないことが多い仕事だから、挑戦を肯定してくれるのはありがたい。

菊井:
あの言葉には救われますよね。
「正解を探すより、まず一歩踏み出してみよう」っていう感じ。
それがあるから、商品開発でも新しい素材やデザインにどんどんトライできる。

工藤:
例えば、初めてセットアップのインナーの企画に関わったとき、
ジャケットが汚れないように襟が高めのインナーを提案したんです。
最初は見慣れなくて「そのデザインで本当にいくんですか?」って周りから言われました(笑)。
でも、社長が「面白いじゃん、やってみよう」って背中を押してくれたんです。

菊井:
結果、あれ、すごく好評でしたよね。
お客様から「ジャケットの首元に汗がつかないインナーを待ってた!」って声も多くて。

工藤:
そうそう。
あれで“やってみる価値”を実感しましたね。
成功したのも嬉しかったけど、「信じて任せてもらえた」っていうのが一番大きかった。

菊井:
それはありますね。
僕も、自分の担当アイテムで「これどうしても形にしたい」って思うものがあると、
一度は挑戦させてもらえる環境がある。
ちゃんと責任を持って考えることを前提に、任せてもらえる感じです。

工藤:
あとは、他の人の挑戦を笑わない空気もいいですよね。
「それ、面白そう!」って言ってくれる仲間が多い。
意見は言い合うけど、否定じゃなくて“盛り上げる”方向。

菊井:
そう。
チャレンジって、結局“応援してくれる人がいるかどうか”なんですよね。
失敗を笑うより、「次どうする?」って一緒に考える雰囲気。
それがこの会社の温かさだと思います。

工藤:
新しいことをやってると、たまに苦労もありますけどね。
海外の工場との調整とか、予想外のトラブルとか。

菊井:
ありましたね(笑)。
でも、そういう時こそチームワークですよ。
周りがフォローしてくれるから、挑戦できるんです。

工藤:
たしかに。
“挑戦する人を支える”っていうのが、この会社の一番の強みかもしれませんね。

服で、人の心を動かす

菊井:
この仕事を続けてきて思うのは、“正解がない”ってことですね。
でも、その分だけ、毎日が新しい。

工藤:
同じ服でも、お客様によって似合い方も選ばれ方も違う。
だからこそ、現場に行くたびに発見がありますよね。

菊井:
「昨日より今日、今日より明日」って感じですよね。
常に変わるし、だから飽きない。

工藤:
僕は、自分が関わった商品をお客様が着てくださっているのを見ると、
やっぱり“やってて良かったな”って思います。
あの瞬間は何年やっても特別ですね。
街中で、自分が手掛けた商品を着ている方を見かけると、
「これを選んでくれたんだ」と思えて、素直に嬉しくなります。
自分の仕事が誰かの毎日に溶け込んでいると感じられる瞬間が、
バイヤーとしての一番のやりがいです。

工藤:
若い人たちにも、そういう“自分の選択が人の役に立つ瞬間”を味わってほしいですね。
最初は分からないことだらけでも、服が好き・人が好きならきっと続けられる。

菊井:
ほんとに。
“センス”より“観察力”と“好奇心”だと思うんです。
お客様の声や、同僚の一言にちゃんと耳を傾けられる人は、必ず伸びます。

工藤:
あとは、怖がらないことかな。
失敗しても、それが次の糧になる。
僕なんて、失敗の話をしようと思ったら一晩じゃ足りない(笑)。

菊井:
あはは、僕もですよ(笑)。
でも、そういう失敗があるから今があるんですよね。
だから、若い人たちには「迷ったら動け」って伝えたいです。

工藤:
そうだよね。
動いてみないと見えない景色があるし、
そこにこそ、この仕事の面白さがある。

菊井:
“服を選ぶ”って、“人を知る”ことでもありますからね。
いろんな人と出会って、関わって、
その中で自分自身も成長していく。
それがこの仕事の一番の魅力かもしれません。

工藤:
結局、服も仕事も、人との関係で成り立ってるんですよね。
それを忘れずに、これからも楽しんでいきたいね。

服を選ぶことは、誰かの一日を支えること。
サイズも、色も、形も違うように、お客様の想いもそれぞれ違う。
私たちはその一人ひとりに寄り添いながら、今日も服と向き合っています。
大切なのは、流行よりも“人”。
好きな気持ちを原動力に、仲間と語り合い、試行錯誤を重ねながら、
これからも私たちは、服を通して“その人らしさ”を輝かせる存在であり続けます。